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いいお客様

大阪の電気設備部品輸入商社(A社)のM&Aのお話しです。
M&Aの契約が年末だったので、(両社長の)社員に要らぬ心配をかけず、ゆっくり正月を迎えて欲しいとの配慮から社員発表を年明けの6日に行いました。この社員発表もうまくいきA社は若い新社長(35歳)のもとで新たなスタートを切ることになりました。
A社は、社員5名(優秀な方ばかりです)ながら経常利益が1億円ほどあり財務内容も良く、また、なんといっても社長と奥様の人柄も最高の会社でした。奥様は社員のために、はちみつレモンやメカブを煎じたドリンクを作ってあげたりして、いい雰囲気作りを心掛けられていました。私が今まで訪問した会社の中でもNO.1の家庭的な雰囲気の会社です。
私は、主に中小企業のM&A仲介をしていますが、改めて中小企業の良いところを感じました。
大企業の場合、薬の卸売等のように業種によっては売上が数千億円以上ないと利益が出ないとか難しい新薬を開発している製薬会社のように研究開発費が数百億円以上出せる体力がないと生き残れないといわれる業種があります。生き残りを掛けて大企業同士が競争しているため、液晶で負けたシャープのように競争に負けた大企業のダメージは相当なものになっています。
2015年に発覚したフォルクスワーゲンの排ガス不正問題では2兆円もの対策費が必要と言われています。
2016年には三菱自動車の燃費データ改ざんが発覚し、以前のリコール隠しで経営破綻寸前まで追い込まれた教訓が活かせていないことが浮き彫りになりました。この燃費データ改ざんには、トヨタの10分の1以下の開発費(年間500億円程度)で、熾烈な競争を勝ち残らなければならないという焦りがあったと思われます。

大企業が倒産した場合は、金融機関が直接的な損失を被りますが、その金融機関を低金利で国民が支えていますので、結局は、国民に負担が発生することになってしまいます。
最近は、大手家電メーカー等の大企業からおもしろい商品が出にくくなっていると思いますが、やはり、オリジナリティー溢れる強い中小企業がたくさんある社会の方が、おもしろいと思います。

さて、話を元に戻しますが、A社社長はメーカー出身なのですが、英語力と持ち前の営業力で海外の取引先をどんどん開拓し、小規模ながら強い会社を作られました。現在60歳で息子さんは2人いらっしゃいますが、2人とも別の会社に勤めており後継者がいない状態でした。
A社社長は、仕事柄、海外ではM&Aが当たり前に行われていることもよくご存知で、M&Aに対する抵抗もありませんでした。夏にM&Aをスタートしたのですが、その後もどんどん業績がよくなり、過去最高の業績でM&Aができました。A社社長にはきっと「M&Aの神様」が降りてきていたのではないかと思います。

今回心配されたのは、次の2点でした。
〇あまりにも会社の雰囲気が良いのでA社社長と奥様がリタイヤされると社員が不安になるのではないか。
〇少数精鋭の社員なので、もし誰かが辞めると言い出した場合に業務に支障が出る。
しかし、A社社長もまだ元気で、買い手の新社長の意向もあり顧問としてできるだけ長く残ってもらうことで、社員の不安を解消することができました。
また、次世代を背負う幹部社員(M&A後、新役員に就任)は38歳だったのですが、彼もA社社長が将来リタイヤした後のことを不安に思っていたそうで、新社長が来てくれたことでその不安が解消され更にやる気になり、他の社員をうまくまとめてくれました。
新社長は、海外での勤務経験もあり英語力、営業センスの面でも申し分ないので、同年代の幹部社員とともにA社をさらに発展させてくれるのが楽しみです。
M&A後、東京と名古屋に支店を開設されました。

今回は、理想的なハッピーM&Aだったのですが、そのためには、次の3点が欠かせないと改めて思いました。
①関係者全員がいい人であること
②さらに何事にもこだわり過ぎず、明るく素直な性格であること
③買い手新社長が他人任せにせず、常勤でA社に来て、自ら陣頭指揮を執ること
新社長のお父様が、以前会社を譲渡されたことがありA社社長の気持ちをよく理解されていたことも良かったです。

私も最終的には会社を譲渡(ハッピーM&A)したいと思っていますが、今回、A社社長と奥様に譲渡時点の心の持ち方等多くのことを教えていただきました。
A社社長と奥様は、苦労をあまり表に出されず大変明るい方で、よく楽しいお話を交えランチミーティングをさせていただいたのですが、これから素敵な第二の人生をスタートされるのだなと考えると感慨深いです(*^_^*)


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