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大きな買収監査と小さな買収監査

2015年は、過去最大のM&A案件のお手伝いをさせていただきましたが、売り手は、従業員が100名ほどのゲーム制作会社で、買い手は中国のゲーム制作会社でした。
この案件では、買収監査の初日には、なんと9名の監査人が来ました。
香港の監査法人から2名(うち1人はこの案件の女性リーダーで35歳ぐらいのAさん)、東京の外資系法律事務所から法務担当の2名、香港の監査法人が依頼した東京の監査法人から会計担当の2名、その大阪事務所から税務担当の3名という大人数でした。
2日目以降は、初日のメンバーが都合に合わせて出入りしましたが、一番長かった東京の監査法人の方は、3週間ほど滞在し調査を行ないました。
この9名から出てくる質問と依頼資料は膨大な量で、売り手の担当者はかなり疲れた様子でした。元々目つきがあまり良くなかった担当者はさらに目つきが悪くなっていきました。
私は、英語も中国語も挨拶ほどしかできません(ただし、言葉は分からなくても相手が言いたいことは分かるような気がします(^o^))が、現場は英語と中国語が飛び交い、優秀な人達に囲まれて、かなり良い刺激になりました。
中国もアメリカと同じく訴訟社会なので、買い手が大企業の場合、買収監査は費用を掛けてしっかり行ないます。法律事務所は時間チャージで報酬を請求するので、スタートから1ヶ月経った後も電話でどうでもいい細かな質問をしてきました。
監査チームのリーダーのAさんはオーストラリア育ちの中国系美人で、2週間ほど滞在しましたが、毎日、洋服(靴も)替えてオシャレにも気を使っていたのが印象的でした。
Aさんは、我々には笑顔で丁寧に対応してくれましたが、監査チームのメンバーには厳しいことを言っていたそうで、東京の監査法人から来たノリの良いお兄さんは、日本語が分からないAさんを「こいつ呼ばわり」していました(^_^;)

このように大人数の監査人が長期間買収監査に来ると会社の従業員に何事かと気づかれてしまうので、私が買収監査を担当する際は、従業員にばれないように現地調査は会社がお休みの日にできるだけ短時間(通常は1日)で終わるようにしています。大半の調査は現地に行かなくても事前に資料をもらってできるので、できるだけ買収監査による売り手の負担を軽減するように心掛けています。
大きな案件の買収監査は、買い手のためというより監査人のリスクヘッジのためにどうでもいいところまで調査しているように思えてしまいます。

因みに上記の買収監査中に、私が仲介している案件(滋賀県の調剤薬局)の買収監査が行われましたが、業種柄、損益が安定していること、リスクのチェックがしやすいこと、監査人の都合上、調剤薬局の営業日に現地調査を行うことになったことから、私が短時間の現地調査をリクエストしたため、現地調査は、監査人2人で5時間ほど(しかし質問等の中身は濃いです)で終了しました。

やはり買収監査は、売り手に負担を掛けないように短時間で効率よく行うことが必要で、意味のない過剰な調査は売り手・買い手の双方にとって良くないと改めて感じました(*^_^*)


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