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問題社員

私のコンセプトは、ハッピーM&Aなので、リストラをするようなM&A仲介は基本的にしないのですが、今まで80件以上仲介した中で、どうしてもこの社員には辞めてもらわないと困るというケースがあり、3名に辞めていただきました。
といっても1名は売り手の別会社に就職し、1名はM&A発表をきっかけに鬱になり出社できない状態だったので、人間的に問題があり辞めてもらったのは1人です。
問題社員であるこの1人(A氏)について、ご紹介させていただきます。

以前、兵庫県で売上4億円ほどの食品製造販売の案件が成約しました。
A氏は、3店舗のうち最も重要な本店の責任者ということで5年前に入社しました。入社時の年齢は52歳、元大手商社マンという肩書きだったので、社長(57歳のやさしい女性)はA氏に期待し、他の社員より破格に高い給料を支払い、1年ごとの契約更新という契約内容にしました。
ところが、A氏は、期待に反して会社にとって不利になるようなことばかり行い、社長をはじめ他の社員にもマイナスの影響を与えていたので、前年に社長は、社会保険労務士にも同席してもらい、A氏に対し「次回は契約更新をしないつもりです」と言いました。するとA氏は「そんなことは違法だ」と言って、机を蹴っ飛ばして出て行ってしまいました。その時も社長は呆れつつ仕方ないのでさらに1年間更新したとのことでした。
その後、A氏は取引先がいる前で社長に向かって「会社は社長のものじゃない」と言ったり、労務問題に関する新聞記事の切り抜きを社長の机の上に置いたり・・・本来、顧客第一で成り立っている会社なのに顧客へのサービスはそっちのけで自分第一という考えを主張し続けていました。
M&Aの交渉中に売り手と買い手の間では、「A氏の態度はあまりにもひどいので辞めてもらうしかない。」と決めていたので、私もA氏の接客態度を確認するためにお客さんのふりをして本店に偵察に行ってみました。
すると接客担当のA氏に笑顔はなく、私と目を合わそうとしません。
商品を買った際もはっきりと「ありがとうございました」と言わず嫌な空気を醸し出していました。
この時、私も「ハッピーM&AのためにはA氏に辞めてもらうしかない。給料の高いA氏に辞めてもらうと元気で愛想のいい若手社員を2人雇うことができて、会社はもっと良くなる。」と思いました。

買い手の社長がM&A後に全社員と面談を行った際、A氏には今回の契約期間終了の3月末をもって契約を打ち切り、契約更新をしない旨を説明しました。するとA氏は、「自分は社員でこれは不当解雇だ。弁護士に相談する」と主張しました。
そして、なんとその翌日、A氏はパソコン内の重要な顧客データを消去し、伝票類をシュレッダーで破棄し始めたのです。それを他の社員に見つかり、急いで駆けつけてきた買い手社長に問いただされるとA氏は事実を素直に認め「これは引継のために行っているのであり、文句を言われるのは心外だ」と逆ギレしました。
会社の重要資料を故意に廃棄し会社に損害を与えた場合は懲戒解雇事由ですが、買い手社長からA氏への対応を相談された私は、「ここで懲戒解雇をするとA氏が弁護士を立てる可能性があるので、そうするとこちらも弁護士を立てざるを得ません。社長のお気持ちは分かりますが、会社の損失が最小限になるようできるだけ円満退社の可能性を探ってください。これ以上A氏が出勤すると何をされるか分からないので、出勤させず、その代わりに2ヶ月分ほど給料を支払うという内容で解決されるのがいい。」と伝えました。
その後、A氏は退職を避けられないと思ったのか態度を軟化させ、「失業手当が優遇されるように会社都合退職にしてほしい」と言い出しました。
その後の話し合いの結果、弁護士が登場することなく円満退社ということになりました。

因みに知り合いの労務専門の弁護士にA氏への対応を相談したところ、次のアドバイスをいただきました。

○契約社員であっても、実質的に正社員に近い状態になっていないか?
○「実質的に正社員」か否かは次のような点を総合的に考慮します。
 1 職務内容自体が臨時的・期限付きの色彩が濃いか?
 2 他の正社員と労働条件が異なるか?
 3 本人への説明等
 4 契約書等の記載(自動更新条項がないか等)
 5 更新回数(多いほど、「次回も当然更新されなくなる」という意識が強くなる)
○法的に正面から争われて辞めさせる正当事由がない場合は、金銭で解決するしかない。
 解決金の額に基準はなく、事件としての強さ(判決で勝つ確率)×本人の強硬さで決まる。
無理矢理辞めさせる場合は、2~3年間の給料分を支払うこともある。

労使問題では、会社=強(または悪)、社員=弱(または善)みたいな図式ができあがっていますが、実際はそうでない場合も多くあります。

昨年、買収監査で関与した社員100人ほどの運送会社案件では、M&A交渉中に辞めた社員から未払残業代320万円を請求されたので300万円支払ったことがありました。するとその辞めた社員と仲が良かった社員もすぐに辞めて、なんと1,200万円の未払残業代を請求してきました。こういう金額を請求すること自体かなり脅しに近い話ですが、売り手はM&Aの最終契約直前で問題を早く解決したいと焦ったのか、アホなことに1,000万円を支払ってしまいました。もし、これが残った社員に広まった場合は、どれだけの未払残業代を請求されるか分からないので、買い手はM&Aどころではなくなってしまいます。
そこで、M&A前に未払残業代を解決するためにこういう経験が豊富な社会保険労務士を紹介させていただき、全社員から「未払残業代はない」という書面をもらい無事M&Aが成約しました。
この案件では、売買金額は1.5億円でしたが、社会保険労務士に計算してもらった未払残業代は、最大2.8億円となりましたので、未払残業代を解決しない状態でM&Aした場合は、大変なことになる可能性がありました。

私が世の中の社員に対して言いたいことは、個人として強くなって欲しいということです。これは、労働組合を作って業績が悪いときでも賃上げを要求するようなことでは決してありません。普段から力を付け、会社が弱いと思えば助けてあげ、会社がダメだと思えば見切りを付け、自分で起業したり、他社に行って大活躍するようなことです。能力が高く、他の社員より数倍頑張る人を世間は放っておかないと思います。放っておかれるのなら自分の宣伝が足りない証拠です。
米国ではプロレスラーはデビューする前にキャラクター作りをします。それが成功すれば実力以上の評価が得られます。日本の社員の皆さんも自分のキャッチフレーズを考え、キャラクター作りに真剣に取り組んでみてはいかがでしょうか?


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